夏の涼をプールで。
多くの子供たちは、プールを楽しみに待っていますね。
蒸し暑い日本の夏をより快適に過ごすには、水遊びで体温を下げることがお役立ち。
そして、そのあと園児たちは、ほどよい疲れから、ことりと午睡の世界へ、、、。
この時期、われわれ皮膚科医の頭を悩ませるのが。
プールに入れるかどうかの皮膚感染症の扱いです。
アタマジラミ、とびひは、幼稚園や保育園の狭いプールで、膝下までの水で遊ぶ際、どうしても園児たちが接触する機会が増えるため、強い感染力となります。
しかし、水いぼとなると、話は別で。
もちろん接触することで人から人へ伝染する感染病ではありますが、
・潜伏期間が2週間〜数ヶ月で、治癒に時間がかかる(数ヶ月から数年)こと
・感染しても、症状が軽く済むか、重くなるかは個人差が大きいこと
・治療法が、ピンセットで皮膚ごとむしるという、傷を作り痛みを伴うものであること
・いつかは自然免疫を得て、症状が治癒にむかうこと
プールを禁止しても、あまり意味のある対策にはならないと思うのです。
その証拠に、水いぼは1年中どの季節でも発症しますし、悪化もします。
園の方針で、水いぼの子供はプール遊びができない、とされている場合もありますが、
医師が良いといえば、プール遊びが可能になるという園もあり、その対応は園によっても違います。
私個人では、痛みを伴う治療であり、なるべくとらずに経過を見たい、という甘い期待を持ちつつも、
水いぼが悪化するケースは、小さいお子さんや、もともと皮膚の弱いかたで。
したがって、水いぼが痒くて皮膚炎が悪化したり、とびひを伴ってしまったりという、水いぼに起因する困ったことが起こるため、必然的に取る選択肢を勧めることが多くなります。
毎日、お風呂などで子どもの皮膚をみている親御さんたちが、増えていく水いぼを見て心配になって、とって欲しいと頼まれる場合も結構あります。
結局のところは、親御さんとの意識疎通が重要だと思うのです。
自分のところでは取らないと頭から決めてしまう医院から、当院へ相談に来る親御さんとお会いするたび、治療をするかどうかを決めることは難しいと実感します。
全身に何百個もの水いぼがあるような場合は、治療の残酷さを説明し、子どもへのトラウマへの配慮から、とらずに様子を見ることを強くお勧めするのですが、
一度は納得されても、それでもやはりとってほしいと、後日再度おみえになることもあります。
なるべく治療の負担の少ないように、かつ通院回数が少なくてすむように願いながらしっかりと水いぼを取っても、すぐまた次々とでてきてしまう場合もあります。
一度水いぼ取りをすると、2度目の受診になると、医院の玄関をくぐる前から大泣きで、診察室に引きずって連れて来られる子どもたち。
おうちでも、親御さんが何度も言い聞かせて連れて来たのでしょう。
そうまでしてクリニックに連れてくる親御さんの辛い気持ちを推し量ると、なるべく早く治してあげたいと、私たちは思うのです。
水いぼはウイルス性の感染症なので、とくに風邪をひいたり免疫力が下がっているときは、一気に悪くなります。
ちびっこが、鼻水、咳き込みながら、大量の水いぼのお悩みで皮膚科を受診すると。
命に関わる病状ではないとはいえ、毎年この時期、頭を悩ませる事案です。