アレルギー疾患
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の治療法
アトピー性皮膚炎とは乾燥肌や皮膚のバリア機能が弱っている人、アレルギー体質の方にみられる皮膚の慢性炎症を繰り返す病気です。したがって、その治療法として、アレルギーが関与していると思われる場合は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)の検索を行います。
当院では、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の治療指針に則って、症状に見合ったお薬の処方と、保湿などのスキンケア指導を行います。
アトピー性皮膚炎には、不規則な生活や偏食、社会的ストレスなどが複雑に絡み合って、免疫力が低下して発症しているケースもあります。その場合は、悪化させないような環境を整えることや、体質改善を目的とする漢方治療も導入しています。
対策
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を可能な限り除去するように工夫していただくことが大切です。それには食物はもちろん、ハウスダストなどの家庭環境、金属、花粉などさまざまなものが含まれます。
また、症状を上手にコントロールするために、日々の保湿やスキンケアを心がけましょう。
ストレスや不摂生、偏食は体の免疫力を低下させます。なるべくなら食事や睡眠時間を規則正しく、バランスのよい食事を取りましょう。アトピー性皮膚炎が現代病と言われる所以はここに起因していると思われます。繰り返す湿疹やかゆみがある場合、早めにご相談いただき慢性化を予防することをお勧めします。
蕁麻疹
治療が必要な方
蕁麻疹は発症するまで予兆がないので、基本的には発症してからの治療となります。
蕁麻疹の原因はアレルギー性の場合と非アレルギー性の場合があります。頻度の高いアレルゲンとしては甲殻類や卵、小麦粉、そば、乳製品、ピーナッツ、青魚などのアレルギーがよく知られています。食品によってはヒスタミンを遊離する食品をとることで発症する場合もあり、原因不明の場合が多いです。胃腸が弱っていたり、ストレスや体調不良など、免疫が低下したときは発症しやすい病気です。
ある種の食品を摂取後、すぐに運動をすると蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難などのアナフィラキシー症状を引き起こす運動誘発性蕁麻疹という病気があり、とくに学生では学校で発症するため問題になっています。
ほかには、入浴や運動などで汗をかいたり体温上昇で引き起こされる「コリン性蕁麻疹」という症状もあります。
また、バックによる圧迫やベルトなどの摩擦、暑さ、寒さ、振動などの外的な刺激で起こる「機械性蕁麻疹」もあります。
蕁麻疹の治療法
蕁麻疹の治療には、抗アレルギー剤を服用していただく治療が一般的です。
アナフィラキシーの既往のある方にはアドレナリン注射(エピペン)の自己注射の指導も行います。
なお、食物アレルギーの診断がついた場合は、必要最小限の食物除去をしていただきます。
食事制限は年齢も関係していて、特に、胃腸が発達していない乳幼児の場合は、食事制限する場合が多くあります。成長していくと、アレルギーがなくなって3歳、遅くとも6歳頃には食べられるようになることが多いです。このため適時、特異的IgE抗体検査を行い判断します。
また、最近アレルギー性物質をあえて摂取することで、免疫反応の感作を減弱させる「脱感作療法」という治療法もありますが、緊急性のあるアナフィラキシー症状が出ることもまれではなく、慎重におこなわれるべきです。
食物・金属アレルギー
アレルギー検査、アレルギー科と皮膚科の違い
アレルギー検査は、原則として、アレルギー科でも皮膚科でも同じものです。血液検査やパッチテストなどを行います。
むしろ、かゆみをともなう肌トラブルはアレルギーと思われることが多いですが、アレルギーだと思い込んで受診したら、実際は虫刺されやかぶれ、ウイルス疾患などアレルギー以外が原因の病気だったというケースもあります。したがって皮膚に症状がある場合は皮膚科で診察・治療を行うほうがお勧めです。
治療法
金属アレルギーの場合、パッチテストでどの金属にアレルギーがあるかは判断します。しかし実生活において、身の回りにある金属製品が、どんな金属からできているのかは判断が困難です。
例えば、ネックレスで皮膚がかぶれた場合、そのネックレスが合金だったというケースが多いです。
かゆみの原因と思われるものは、なるべく身に付けない方が無難ではあります。
また、食物の中にも金属が多く含まれている場合もあります。アレルギーの原因となる金属がわかっていたら、その金属が含まれる食べ物は、なるべく控えめに摂取してください。
いずれにしろ、アレルギーの原因がわからず不安なままよりは、原因がわかった方が対策もでき安心ですので、なるべくアレルゲンを特定した方がいいと思います。
完治について
食物・金属アレルギーは、完治はなかなか困難です。しかし、適切な治療と除去を行い、よい環境に身を置くことで、重症化を防ぐことができます。
接触皮膚炎
多いケース
接触皮膚炎でもっとも多いケースは、手荒れです。これは、看護師や調理師のように、毎日のように水を扱い、洗剤などで皮膚のバリア機能が低下することにより起こりやすくなります。仕事で有機溶剤を使用している人や工芸品のうるしも、注意が必要です。
またかぶれを起こしやすい植物や染料なども原因として多いです。
日常生活では、化粧品や湿布薬、金属(装飾品)、衣類の抗菌加工などが原因になります。
かぶれには刺激性のかぶれとアレルギー性のかぶれとがあります
アレルギー性のかぶれは、原因物質と接触した部位を超えてかゆみが広がります。
治療が必要な方
もっとも一般的な治療法は、ステロイド外用薬を使用して炎症をすみやかに抑えることです。
アレルギー性の場合は抗アレルギー薬やステロイドの内服も併用することがあります。
薬疹
症状
薬疹の治療方法は、症状の程度により異なります。体に発疹ができている程度のものは軽症です。皮膚に水疱や、粘膜に炎症ができるのは進行した症状です。そして、熱やただれが出てしまうようなケースは、かなり重症化しているといえます。
まず、一番必要な治療としては、薬疹を引き起こしているお薬の服用を中止することですが、お薬を何種類も使用していると、どれが犯人なのかわからないケースも多々あります。
半年くらいまでお薬の履歴をさかのぼらないと、薬疹の原因となるお薬を特定できないことがあります。また、重症化してしまった患者様には総合病院をご紹介し、より高度な治療をお勧めしています。
起こりやすい方
薬疹は、市販のお薬でも、処方箋のお薬でも、発症する可能性があります。
また、アトピー素因やアレルギー性疾患をお持ちの方の方が、発症しやすい傾向にあります。
薬疹が出ると、内科で診察を受けられる患者様が多いのですが、まずは皮膚科に相談しましょう。
手荒れ
治療法
手荒れの治療は、スキンケアによる保湿とステロイド外用剤を使うことが一般的です。
症状が落ち着いている時も、日頃から乾燥を防ぐために、保湿を心がけましょう。
手荒れ
治療法
対策
また、手荒れの原因になる素材を変えていただくことも重要です。盲点の一つがゴム手袋です。ゴム手袋を使えば、水にも洗剤にも直接触れることはありませんが、手袋の中で汗をかき、皮膚が蒸れてかぶれやすくなります。そんなときは、まず綿手袋をして、その上からゴム手袋をすることを推奨しています。
そのほか、就寝時にも可能であれば、保湿剤を塗ってから綿手袋をはめておけば、翌朝の手のしっとり感が、格段に違います。
乾燥性湿疹
治療が必要な方
人間の皮膚は、遺伝性でもともと乾燥しやすい体質の方もいらっしゃいます。
しかし乾燥性湿疹を発症する方の多くは、小学生以下のお子様と、60歳以上の高齢者です。これらの世代は、皮膚が薄く、乾燥しやすくなる傾向があるためです。
乾燥性湿疹は、見た目には肌のキメが悪くなり、ふっくら感がなくなってきます。皮膚が粉を吹いている、光沢を浴びたようなツルッとした見た目から、乾燥肌と診断されます。
このような方に、治療が必要となります。
なお、自分が乾燥肌だと思わずに肌トラブルで受診されるケースもあります。
なりやすい方
皮膚が薄く、乾燥しやすくなる乳幼児と高齢者が、発症しやすいといえます。
また、遺伝的に肌が弱かったり、薄い人も注意が必要です。
乾燥肌とアレルギー体質は、まったく別問題です。しかし皮膚が乾燥していると肌が荒れ、いろいろなアレルギー物質が入り込むため、アレルギーが発症しやすくなるのは事実です。
また、乾燥肌は皮膚が弱っている状態なので、アレルギーだけでなく、とびひなどの細菌性の感染症やウイルス性のイボなどにも発症しやすくなります。
治療法
治療の主体は、保湿になります。また湿疹の程度によってステロイドを使用します。
原因が乾燥であれば、保湿をしないと発症を繰り返すことになります。保湿をしっかりと行えば、再発予防にもつながります。
当院では、お子様には、生まれたてのころから保湿をお勧めしています。事前にバリア機能を固めることで、アトピーの発症を防ぐことが期待できるといわれています。お子様にアトピーの心配がある場合には、特に推奨しています。
アレルギー表
金属とその感作現一覧表
金属 | |
---|---|
アルミニウム | 歯科用セメント・化粧品・香料・医薬品・農薬・歯磨き・絵具・クレヨン・顔料・塗料・皮なめし・ガラス・エナメル・陶磁器・セメント混合剤・焼みょうばん・ベーキングパウダー・写真・メッキ・灯油・経由・繊維 |
金 | 歯科用・貴金属装飾品・貴金属回収作業・メッキ |
スズ | 歯科用・合金・医薬品・顔料・感光氏・缶製品・衣類 |
鉄 | 化粧品・消毒剤・農薬・塗料・印刷インキ・黒インク・絵具・クレヨン・皮なめし・製革・写真・合成樹脂・建材(セメント瓦・スレート・アスベスト床・建材の着色顔料)製紙・陶磁器・道路・ゴム |
白金 | 歯科用・貴金属装飾品・貴金属回収作業・メッキ |
インジウム | 歯科用 |
イリジウム | 歯科用 |
亜鉛 | 歯科用セメント・化粧品・医薬品(亜鉛華デンプン・亜鉛華絆創膏・亜鉛華軟膏)・医薬部外品(脱臭剤・アストリンゼン・脱水剤)・塗料・印刷インキ・絵具・顔料・錆止め顔料・陶器うわぐすり・ガラス・アクリル系合成繊維 |
マンガン | 特殊合金・ステンレス・医薬品・肥料・塗料・染料・ほうろう・織物・マッチ |
銀 | 歯科用・装身具・メッキ・貨幣・飾り物・鏡・医薬品・食器 |
クロム | クロムメッキ工業・印刷業(青色)・試薬・塗料(ペンキ・ニス)・媒染剤・陶磁器うわぐすり・皮なめし |
コバルト | メッキ・合金工業・塗料(エナメル・ラッカー)・染着料(青色系)・顔料・陶磁器うわぐすり・乾湿指示薬・ハエ取紙・粘土セメント・ガラス工業・乾燥剤 |
銅 | メッキ・冶金(合金製造)・顔料・農薬(稲・麦・果樹)・媒染剤・皮革・皮なめし・人絹染料・人絹工業(銅アンモニア法)・乾電池・機材防腐剤 |
水銀 | スズ亜鉛合金・冶金・漂白クリーム・化粧用クリーム剤(保存剤としてまれに含有)・消毒剤・農薬(水銀製剤)・防腐剤・分析試薬・イレズミ(赤色)・金属うわぐすり・染料・皮革・皮なめし・フェルド・木材防腐剤(亜鉛・スズ)・有機合成触媒(塩化ビニールなど)・乾電池および鏡の製造・写真工業・アルミニウム電気版・印刷業 |
ニッケル | ニッケルを含む種々の合金製装身具(バックル・ガーター・腕時計・時計バンド・イヤリング・ネックレスなど)ニッケルメッキ・ニッケル触媒・媒染剤・塗料(ペンキ・ニス)・陶磁器・セメント・電気製板・乾電池・磁石 |
金属とその感作現一覧表
Ni | Co | Cr | Mn | Zn | Cu | |
---|---|---|---|---|---|---|
豆類 | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て | |
木の実 | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て | |
穀類 | 玄米・蕎麦 オートミール |
玄米・小麦 | 玄米・小麦 小麦胚芽 |
|||
野菜 | ほうれん草・レタス かぼちゃ・キャベツ |
キャベツ | 馬鈴薯 玉葱 |
わらび・パセリ レンコン |
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キノコ | マッシュルーム | マッシュルーム | 椎茸 | 椎茸 | 椎茸 | |
海草 | 全て | 海苔 | 海苔 | |||
肉類 | 肝臓 | 肝臓 | 肝臓・牛肉 | 肝臓 | ||
卵 | 卵黄 | |||||
魚介類 | 牡蠣・鮭・ニシン | ホタテ貝 | 牡蠣・蟹・蛸・干し魚 | 牡蠣・シャコ | ||
香辛料 | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て | 全て |
飲み物 | 紅茶・ココア・ワイン | 紅茶・ココア・ビール・コーヒー | 紅茶・ココア | 紅茶・日本茶 | 日本茶 | 紅茶・日本茶 |
菓子 | チョコレート | チョコレート | チョコレート | チョコレート | チョコレート | チョコレート |
嗜好品 | タバコ | |||||
薬剤 | 大黄末 |
注)1.水道水は流し始めの5分間は使用しないこと
2. 缶詰食品、缶詰飲料は摂取しないこと
3.調理器具にステンレス製品やメッキ製品の使用は避けること
4.必須金属も含まれるため、必ず医師の指導の下に制限食を行うこと
あせも
原因と処方薬
あせもは、汗腺が詰まってでき、「急に暑くなる」という季節の変わり目が発症しやすいタイミングです。
注意は6月と9月です。6月は、梅雨になるとジメジメしてきますが、汗腺はまだ開き切っていない状態の温度が、あせもを引き起こします。また、少し涼しくなってくる9月は、汗腺が閉じ気味になり、あせもになりやすいといえます。
あせもの治療には、亜鉛化単軟膏というお薬を中心に使用します。皮膚の収斂(しゅうれん)作用があり、表皮のむくんでいる部分を引き締めます。そこに、症状の程度に合わせて、ステロイドを使用します。
市販薬との違い
市販薬でも、医師からの処方箋でも、効果は同じです。
しかし、医師に正しい診察を受けていないと、あせもだと思っていても実は違う病気だったという可能性もあります。
自分が見立てた病気と実際の病気は違っていた。それが、市販薬が効かない一つの原因です。そんな間違いをしないためにも、まずは医師に相談しましょう。
乳児湿疹
原因
乳児は肌が弱いので、低刺激なものでも反応してしまいます。そのために起きるのが乳児湿疹です。
顔を爪で引っ掻く行為から、頬っぺや頭皮が荒れたりジクジクしたりします。ハウスダストやイヌの毛に反応するなど、住環境に起因していることもあります。
ジクジクが治らないと、とびひのようになり、あっという間にジクジクした部位が広がってしまいます。そうなる前に、早めに受診されることをお勧めします。
赤ちゃんは、急に症状が悪化します。心配な場合は早めにご来院ください。
また、水仕事などで荒れてしまったお母さんの皮膚炎が悪化して、お子様のお世話をする際にお子様に伝染している場合もあります。
当院ではいろんな可能性を踏まえて診療を行っております。
治療法
赤ちゃんは自然治癒力が高いので、ワセリンなどで皮膚表面を覆う油膜をつくってあげることにより改善する場合もあります。
乳児湿疹からアトピーに移行するケースがほとんどなので、乳児湿疹の状態をなるべく広げないよう、健康な肌の状態を保ってあげることが、アトピー性皮膚炎の予防にもなります。
ワセリンは安価で、余分な物質が入っていないので、安心して使えます。肌荒れやおむつかぶれなどにも応用が利きます。
完治にかかる期間
個人差があるので、何とも言えません。ただ、ワセリンなどでお手入れをしていて症状が治まっているのか、まったく何もしないで症状が出ていない状態とでは、根本的に違います。少しでもお手入れが必要な状態の場合は、季節の変わり目や体調の悪化で皮膚症状も悪化することがありますので、ご心配な時は診察を受けていただきたいです。
予防・対策法
保湿剤を赤ちゃん自身が嫌がるケースもあります。
そのときは、スキンケアの時間を楽しめるよう薬を塗るときに遊びを取り入れてもらったり、就寝してからやさしく塗るなど、工夫をしてあげてください。
傷痕について
よほどひどいケースでなければ、跡は残らないのでご安心ください。
なお、水疱瘡は跡が残る場合があります。とびひは残りません。
皮膚感染症
とびひ
症状
とびひは、擦り傷や虫刺され、あせもなどのひっかき傷から角層に細菌が繁殖して水疱や赤みができ、それが破れてジュクジュクになった状態です。かさぶたのようになる場合もあります。かゆみが強く、掻き壊すことで皮疹が急速に拡大します。
とびひが起こりやすいのは、乳幼児やアトピー性皮膚炎のかたです。またプールの季節であれば、小学生でも感染しやすくなります。とびひは細菌性なので、免疫ができません。そのため、アトピーや肌が弱いお子様は、何回でも繰り返し発症します。
とびひは伝染性が強いので、放置しておくとどんどん周囲の人にも広がります。幼稚園やご家庭の中でとびひのお子様がいると要注意です。
治療法
とびひは、内服薬や外用薬の抗生剤で治療します。皮膚に細菌が増殖している状況ですので、シャワー浴や石鹸で清潔にする必要もあります。しかし、かゆみがあって引っ掻いてしまい治らない場合は、ステロイドを使用するケースもあります。皮膚のジクジクした部分を覆うように薬を塗ったリント布を使います。このとき、あまり小さな布では、その端の部分からとびひが広がるので、なるべく大きな布で覆う必要があります。
1週間たって治らないような傷は、よほどひどい傷か、とびひか、どちらかです。
早めに皮膚科に相談しましょう。
また、お子様の治療にキズパワーパッドは使わないほうがいいと思われます。
なぜならキズパワーパッドの中で細菌が繁殖してとびひになるケースがあるからです。
イボ・水イボ
イボと水イボの違い
イボと水イボは、どちらもウイルス感染という点は似ています。
しかし、イボは正式名を「尋常性疣贅」といい、水イボは正式名を「伝染性軟属腫」という、まったく違う病気です。
症状
イボは、角質化されたできものが、主に手や足の裏にできます。もちろん全身、顔や頭皮、陰部にもできます。急速に大きくなるため、足底では痛みを生じることが多いです。
特徴としては、硬いしこりで、中に黒い点々があります。
水イボは、白くて水ぶくれのように見える発疹が、皮膚に発生します。
少しできても痛みもかゆみもなく気づかぬ間に治癒している人もいれば、肌が弱い方ではかゆみで触れたりひっかいたりすることで、急速に増殖する方もいます。
かゆくて引っ掻いていると皮膚を傷つけ、湿疹やとびひまで起こしてしまう場合もあります。小さい乳幼児は、悪化することが多いです。
治療法
イボは液体窒素を使った冷凍凝固法が一般的です。処置後半日は痛みを伴います。1〜2週間おきに通院していただき、平均3カ月ほどで完治します。中には年余をわたって治らない方もみえます。
自然治癒する場合もありますが、痛みがあったり長期間にわたると発がん性のリスクもあるため、通院して早めに治した方がお勧めです。
水イボはそれに効く特定のお薬はないので、内容物の白い塊をピンセットで除去します。
水イボについては、麻酔テープの使用が可能です。テープを貼って1時間ほどすると、痛みはあまり感じなくすることができます。ただし、数が多いとこちらも痛みを伴います。
できてしまったときに気を付けること
できてしまったら、早めに皮膚科で受診してください。
発症しやすい方
集団生活をしているお子様で、肌が弱かったり湿疹がある人に、重症化しやすい傾向が多いといえます。
ヘルペス
治療が必要な方
ヘルペスが発症した場合は、なるべく早めに医師に受診しましょう。
陰部ヘルペスの再発を何度も繰り返す方は再発抑制療法として、抗ウイルス剤を1年間内服する治療もありますので、該当する方はご相談ください。
完治について
早めの受診によって重症化を抑えることができます。再発を繰り返す方は早めに薬を使用してウイルスを抑制することで、再発までの期間を延長することができるといわれています。
どの様なときに発症するか
疲れているときや、ストレスが溜まっているとき、風邪をひいたときなどの免疫力が落ちている場合に、再発しやすいといえます。
また高齢者になると、内臓に何らかの病気を持っていたり、何かの病気を治療しているとき、(抗がん剤などの治療を行っているとき)などは、再発が止まらなくなる場合があります。
再発防止対策
根本的な解決策はありませんが、生活習慣や栄養バランスを整えること、ストレスをためないことが、再発防止に重要です。
水虫
治療が必要な方
水虫は伝染性の病気なので、家族や近い人にうつしてしまう可能性があります。必ず治療してください。
小さなお子様が水虫にかかるのは、ほとんどはご家族からの感染です。
足が汗などで蒸れる方や革靴を履いて仕事をする方、銭湯やスポーツジム、高齢者の入浴サービスなど、集団で入浴する環境が感染しやすいので注意しましょう
足が多汗症の人は、水虫にかかりやすい傾向にあります。多汗症は、小学生など若い人に比較的多いです。また、男性の革靴や、冬場の女性のブーツなども、その中で水虫が繁殖する危険性が高いといえます。
水虫にもサイクルがあり、冬場は冷えで皮膚温が高くないのであまり水虫菌が増殖しません。春先ぐらいから出始め、夏でピークを迎え、秋に収束していきます。つまり、未治療の状態では皮膚に症状が出ていなくても、1年を通して水虫を「飼っている」状態にあります。
日本人ではおよそ30%が水虫だといわれています。しかし、痒みなどの自覚症状がなく、自分では水虫ではないと思っている人も少なくありません。足の皮膚がカサカサしていたり、皮がめくれたり、皮が固くなっている場合は、水虫を疑いましょう。
検査をしないと、水虫かどうかはわかりません。詳しくは、皮膚科で相談しましょう。
完治について
爪水虫の治療薬は近年大きな発展を遂げているので、完治することが可能です。昔は内服薬でしか治らないといわれていましたが、最近は塗り薬にも浸透性の高いものが出てきています。高齢者や肝臓の悪い方でも、新しいぬり薬で治すことが可能になっています。
ただし水虫は、表面上きれいになったとしても、皮膚の奥深くまで水虫菌が浸透しているので、根気のある治療が必要です。
治療期間
足白癬だけであれば、お薬を使用し始めてから大体30日間ほどで、表面上はきれいになります。ただし、角質の中に白癬菌が残存しています。白癬菌が完全に死滅するまでは、そのあと3カ月、治療を継続する必要があるので最低4ヵ月はかかります。
爪水虫の場合は、爪が伸びるスピードで生え変わってきれいな爪に置き換わるので、さらに時間がかかります。
例えば親趾では、爪の長さを15mmだとして、1カ月に1mmずつ伸びるので、1年半かかる計算になります。
感染予防
水虫はきちんと外用剤を継続しないと、比較的再発しやすい病気です。日ごろから足を清潔に保ち蒸れをふせぐことを心掛けましょう。